我泣きぬれて蟹を食べてる

 自宅に戻ってここ数日のダイアリーを見たら、あまりにおセンチで我ながらあきれてしまった。出張とはいえ旅に出ると、どうも感傷的になっていけない。

 てなわけで気分転換をはかろうと、新宿へ「かもめ食堂」という映画を見に行った。フィンランドで食堂を開いたひとりの日本人女性。おいしいものを出すことには熱心だけど、商売にはたいして関心がなく、開店休業状態。そんなお店に日本かぶれの妙な青年をはじめ、ちょっと抜けた人たちが集まってきて……という話。
http://www.kamome-movie.com/

 出張は神経を使う。誰とどこそこで何のために会うのか。目的をはっきりさせて効率をギリギリまで上げる、という仕事には緊張感があって嫌いでないけど、それが何日も続くとやっぱりきつい。そんな状態だったので、目的があるのかないのかよくわからないような人たちが集まって、楽しい時間を過ごしていくというこの映画は心地よかった。

 なにより小林聡美のさっぱりした美しさと、おいしそうな食べ物をみているだけで幸せになりそう。煮詰まったらまた見てみたい映画です。★★★★☆

 でも、ヘルシンキの港の風景を見せられたら、無性に中島みゆきの「二隻の舟」が聴きたくなってしまった。明日借りてこよう。