WonderGoo訪問記

 千葉ニュータウンは郊外の中の郊外、アメリカの田舎のような場所で、高速道路のような国道464号線に沿ってさまざまな業種の大型店舗が立ち並ぶ。長く都心に住み、バリバリのペーパードライバーと化した僕は、父の車を拝借し死ぬ思いでWonderGooにたどり着いた。(何人か轢きかけただけでなく、ガードレールにも突っ込むところだった。60km以上の高速で走るなんて不器用な僕には無理だ。)


 今回、新刊と中古本の一体陳列が行われるのはコミックに限られている。売り場は「COMIC WORLD」と銘打たれ、棚には平気な顔をして新刊と中古本が同居している。新刊はビニールでパックされているが、中古本はパックされず価格シールが貼られているだけ。中古本の価格は作品の人気と本の傷みで設定されているようだが、たとえば『Dr.コト−診療所』の1巻では、本体505円のところ中古本は150円になっていた。棚をざっと見たところ、新刊と中古本の割合は半々、中古本は全巻そろっているシリーズもあれば、間が欠けてしまっているものも多い。棚の本数は130本ほどだから、コミック売り場としてはかなり大きい。


 エンドには新刊の新刊(ややこしい表現で恐縮だが、最新刊のこと)が並んでいる台もあれば、中古本をシリーズ単位でパックして、たとえば1巻から10巻まであわせて1000円といった売り方をされている。その他売り場には1冊50円で投げ売りされているワゴンもある。出版社勤務の人間として非常にまずい発言なのだが、かなり面白い売り場だった。正直に告白すれば、僕はマンガより文芸書が好きなのだが、それでもこの売り場なら、そのうち読もうと思っていたマンガが安く手に入るので、今まで買う気のなかった本まで手を出してしまいそうだ。


 新刊と中古本の陳列を一体化することで、お客さんのメリットとしては
(1)新刊と中古本、両方のコーナーを探す面倒が省ける
(2)すでに絶版になってしまい、新刊で手に入らない本が手に入る
(3)新品できれいだけど定価の新刊か、中古で汚いけど安い中古本か、作品への愛着によって、選ぶことができる
 などがあげられるだろう。

 また、書店のメリットとしては
(1)利幅の大きい中古本をたくさん売ることができる
(2)ライバル店に比べて売り場の集客力が強まることで、店の競争力が高まる
 などがあげられるだろう。