俺ら東京さもう行かねえだ
僕が育ったのは印旛沼の近くにあるベッドタウンで、けっして都会とはいえないけれど、町で一番栄えているのは駅前だった。駅の両側に小さなデパートもあったし、商店街にも人が歩いていた。交通網の中心に電車があるからで、高校からは東京に通ったり住んだりしているので、その認識は変わらない。
だから地方に出張するようになり、千坪近い郊外店を目の当たりにして、本当におどろいた。カルチャーショックといっていい。郡山なんて駅前のアーケード街は半分以上シャッターが閉まっており、元気がいいのは風俗店のお兄さんだけ。駅前は「高校生のガキしかいない町だな〜」と思っていたのに、郊外のイオンショッピングモールへタクシーで営業に行くと、平日だというのに2000台を超える駐車場がほぼ満杯。もちろんそこの書店さんも大忙しで、仕事の話なんて結局できなかった。(何しに行ってるんだ…_| ̄|○)
東京にいると駐車場はバカ高いし道路は混んでるしでクルマに乗る機会がなく、僕の免許は文字通り紙切れと化している。それで実感できなかったのだが、もう日本はクルマ社会なんですね。若いヤンキー姉ちゃんや爺さん婆さんまですいすい運転しているのを見るたび、時代は変わったんだなぁと、国道沿いで来るあてのないタクシーを待ちながらシミジミ感じるわけです。郊外に営業行くときは帰りのタクシー予約しておかないとダメだって!(´・ω・`)
検証・地方がヘンだ!―地方がファスト風土化し、液状化している! (洋泉社MOOK―シリーズStartLine)
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でも地方の現状を知らない人間には勉強になる。
たとえば一世帯あたりの消費支出額、80年代までのトップは東京23区、その後横浜、川崎、浦和などに移っていくが、2000年のトップはなんと富山で、以下福島、浦和、金沢と続く。クルマで手軽にショッピングセンターにいける地方のほうが大量の買い物には便利で、消費生活が地方にも広まった結果といえる。
ロードサイドショップはクルマから目立つように派手な原色の看板を掲げるし、チェーン店はフランチャイズ戦略で全国に広げていくので、結果どの地方に行っても道路沿いには同じような色のレストラン、電気屋、サラ金、ブックオフなどの看板が並んでいる。もはや地方の独自性なんてのは存在しない、と。
またイオングループの戦略についても「人口が減少し、ただでさえ市場が縮小している地域に乗り込んで、そのパイを独占する」とある。岡田会長は「狸や狐の出る場所に出店せよ」といっているらしい。道理で吉幾三が歌う青森のド田舎に巨大なイオンがあったりする訳で、イオンがあればもう「俺ら東京さ行ぐ」必要はないのだ。
じつは実家の近くにも今年春にイオンができて寄ってみたのだが、タワーレコードもABCマートもあって、買い物はほとんど済んでしまう。80年代は「パルコ文化」だったが、現在は「イオン文化」が席巻しているという指摘にも頷かされる。だから選挙で負けてもあのお方は「日本をあきらめない」わけですな。ヽ( ´ー`)ノ
地方の人たちが豊かな消費生活を味うののは自然な欲求だと思う。都会の人間は昔からそうだったのだから。それはいいことでも悪いことでもないはずなのだが、一億総消費者化の先にあるものを想像したとき、あまり明るい未来が見えないのは僕だけですかね。