噂の新年会

 噂に聞いていた大チェーン様の新年会に参上仕る。電車を降り、送迎バス乗り場に向かうと地味なスーツの行列がすでに業界ゾーン。ホテルに着いて、受付に立っているのは各店の店長クラスで、あわてて挨拶する。クロークで荷物を預け、会場にはいると大ホールは人でいっぱい、控えの間のようなところで液晶モニタで様子を見る。これでも昔の会場よりは広くなったんだとか。会長様、新社長様、取次様、版元大手様の挨拶やら表彰が続く。


 うちの会社は役員はじめ数人まとまってきたのだが、「じゃ、あとは適当に」と三々五々散ってしまった。おいおい、普通は上司が「これがうちに入った新人で…」とか言って紹介するもんじゃないのか? 実際ほかの版元はある程度まとまって行動しているのに…なんて会社だ。仕方ないのでウロウロしていると、突然担当替えになって挨拶にもいけなかった店長さんや、就職試験でギリギリになって辞退した会社の女社長さんや、向こうから声をかけられたけど顔を見ても名刺をみてもさっぱり思い出せない営業さんと会い、非常に申し訳ない思いを連発する。


 会は進み、力士やら手品師やら歌手やらが来ていたけど、そんなメジャーではなかったような。本年度の会長様の出し物は「恋のマイアヒー」のパラパラ、きっと一か月後の会合でもまた拝めることでしょう。ヨイショしたい人は練習しておくのが吉です。中締めがあって、もう人混みはこりごりになって、駅まで一人歩いて帰るのだった。