電子ペーパー

 「世界の車窓から」を眺めていたら富士通が「電子ペーパー」の開発に成功したとCMを流していた。
http://jad.fujitsu.com/adver/tech/main03.html

 古い出版人や読書人の中には、「紙というのは最高のメディア形態で、本という形は絶対なくならない」と主張する人もいる。そういう方は分厚い「ハリーポッター」や「Opローズダスト」でも毎日持ち歩いて筋トレするがよろし。あれのどこが最高のメディア形態だっつーの。

 デジカメも登場したころは値段が高くて画質が悪く、オモチャみたいなものだといわれていた。通常のフィルムとカメラがなくなるなんて誰も予想しなかった。ところが10年前に登場したカシオ「QV−10」が爆発的にヒットして普及し、以後技術はものすごい勢いで進化し価格は下がり続け、いまでは携帯電話にも搭載されひとり1台以上持っている。
 そして旧来のフィルムメーカーやカメラメーカーでデジタル化への流れに乗れなかったところが次々と部門撤退や会社倒産に追い込まれている。往年の業界メジャーであったコニカミノルタがカメラ・フィルム事業を辞め、世界3位だったドイツのフィルムメーカーが倒産した。
http://konicaminolta.jp/about/release/kmhd/2006/0119_04_01.html

 辞書にしたっていまの中高生はけっこう電子辞書を使っている。僕は出身高校で始めて(1997年)電子英和辞書を持ち込んだと思うのだが、一部の教師からは「ことばを探すのに手間をかけることで覚えられるんだ」と叱られた。いまも同じことをいっているのだろうか。
 音楽だって、少し前まではCDからテープやMDに保存してウォークマンと一緒に持ち歩くのが当たり前だったのに、今では携帯プレーヤーに転送しておけば一台で済んでしまう。そのうちCDなんて買わなくても、ネットからダウンロードすればよくなる。

 現在、電子出版はまったく普及していない。それは端末価格の高さ(ソニーリブリエ http://www.sony.jp/products/Consumer/LIBRIE/ は4万もする。誰が買うかって!)と内容の貧困(旧作やベストセラーの焼き直しばかり。http://www.paburi.com/ 誰が読むかって!)によるものだが、技術的な問題が解決されればコストは格段に下がるだろう。あとは電子ペーパーという新しい革袋にどんな酒を入れるか。そこにしか我々のような中小の出版社に未来はない。

週末に読むためのメモ→ http://premium.nikkeibp.co.jp/ebook/