小三治にまいった!

 寄席に通い始めてまだ2か月、という駆け出しの落語ファンでも、2度3度聞いたことがあるスタンダードナンバー「青菜」(http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/2005/03/post_4.html)ネタ自体が面白いので、あらすじを追うだけでも笑いがとれる。実際、今まで見た演者は持ち時間の制約もあって、話の筋を追うだけだった。だから何度も聞いていると飽きてくる。
 今日、末広亭の夜席でトリに出てきたのが柳家小三治。45分かけて演じた「青菜」に、衝撃を受けた。同じ噺でも、演者によってこれほど違うものか、と。小三治は客に媚びた笑顔を見せないし、権太楼のように力で押し切る訳でもない。粗筋をざっとなぞるのではなく、屋敷の旦那の粋な態度、出入りの植木屋の滑稽な振る舞い、そのギャップを丁寧に演じて、噺に隠れたおかしさ、面白さを一つひとつ拾っていく。人間誰しもが持つ見栄や気高いモノへの憧れ、それが巻き起こす喜劇を、否定も軽蔑もせず、あるがままに演じてしまう。
 落語を聞き始めて、まだわずか。柳家喬太郎の新作や古今亭寿輔の風貌に笑ってきたが、恥ずかしながら古典落語がこんなに面白いとは思わなかった! またはまってしまいそうだ…助けて!(´ρ`)