誰にも頼まれていないのに上海ブックガイド
というわけで、上海ブックガイドの続きです。
こんなに読んでえらいなー、と誰も褒めてくれないので自讃してみる。
上海・ミッシェルの口紅―林京子中国小説集 (講談社文芸文庫)
- 作者: 林京子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/01
- メディア: 文庫
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私が思う川は河で、どっぷり流れる黄浦江だった。せせらぎの繊細さはなかった。舟べりをあわせた一方の舟尻で排便をし、並んだ一方の舟尻で、米を洗う。汚ない、といえば、米を洗う水と、便を運ぶ水が混り合うのは、ずーっと先だ。だからちっとも汚なくない、と彼らはいう。私は、この風土と生活感覚をみて育った。(「出発まで」)
上海を故郷とする林京子にとって、中国人は外人でなくただの隣人であり、日本と中国の両国が戦争しているにもかかわらず、路地では不思議な友情関係が成立している。それは林家の両親から受け継がれたもので、林京子の母親は中国人の家にピストルを持って脅迫に来た日本人を前に「悲しいです。あなたの気持ちが恥ずかしいのです」と言い切る。そんな時代の空気を丁寧な筆致で描いた一冊。評価★★★★★
- 作者: 須藤みか
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/06/21
- メディア: 文庫
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- 作者: 劉建輝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/06
- メディア: 単行本
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「上海東亜同文書院」風雲録―日中共存を追い続けた5000人のエリートたち (文芸シリーズ)
- 作者: 西所正道
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2001/06
- メディア: 単行本
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教室で「日中の共存共栄」を教えられ、しかし戦争中は中国に対する侵略に荷担せざるを得なかった挫折を、卒業生たちがどう乗り越えていったのか。彼らの生き方は様々だが、共通しているのは日本人と中国人の考え方の違いを認めた上で行動していること、そして日本と中国が友好的な関係にならない限りお互いにマイナスであること。
「もし日中戦争に対する賠償を求められていたら、戦後の日本の経済復興は望めなかった」「中国人は観念的なものでは腹はふくれないと考える」「万里の長城というのは、中国人にとってみれば、中国民族が力を合わせれば、あれだけ偉大な物を作れるんだという、心の拠り所だと思うんだ」「中国とのつき合いを大切にすることは、結果的に日本とアメリカの関係もよくする」
その人の性格、仕事、立場によって中国の見方はバラバラだが、それをまとめてどう取るかは読み手次第。重厚な読み応えの一冊。評価★★★★☆
そもそも、ぼくが上海に行こうと思ったきっかけはこの特集でした。
- 出版社/メーカー: 都市出版
- 発売日: 2006/10/03
- メディア: 雑誌
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読んでつまらなくて挫折したのは次の2冊。
- 作者: 田島英一
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2004/01/16
- メディア: 新書
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- 作者: 衛慧,桑島道夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/03/09
- メディア: 文庫
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それから、上海だけでなく、いまの中国を知るためには次の2冊がオススメ。
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: ミシマ社
- 発売日: 2007/06/02
- メディア: 単行本
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- 作者: 上村幸治
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/03/22
- メディア: 新書
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