ソウルの予習問題
きっかけは、昨秋手に取った一冊の本だった。
- 作者: 李明博,屋良朝建
- 出版社/メーカー: マネジメント社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 単行本
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
政治でも経済でも、日本は韓国の先を行っていると思っていた。そんな根拠のない自信が崩れた。
「都心であるほど、たくさんの人が出歩いてしかるべきだ。都市に暮らす人たちに最も必要なのは歩いて考える時間である。橋は人にそうした時間を与えてくれる。」
こう語れるリーダーが今の日本にいるだろうか。さらに、計画を合理的に進め、瞬く間に実現させることの出来るトップはいるだろうか。僕は悔しかった。そして、一度復元された清渓川を目にしたいと思った。評価★★★★☆
- 作者: 関川夏央
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/11/18
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 6回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
一つは時代の違い、この本が書かれたのは81年からの2年間だから、ちょうど僕が生まれたころだ。民主化される前なので、軍隊が大きな顔をしている。また日本人にとって韓国は買春のために行く場所であり、韓国人にとって日本は旅するどころか依然として敵国だった。四半世紀後、若い女の子にソウル旅行が人気ですよといったら、当時の日本人にせよ韓国人にせよ大いに驚いたことだろう。
もう一つは著者の年齢、当時の関川先生は30歳を過ぎたばかりの青年である。今の僕とそう年は変わらない。夜の街で軍に連行され、事情聴取を受けたときの一コマ。
「なんで、こんなところをひとりで歩くの? 日本人なのに」
「なぜっておもしろいですね。ひとり、好きですね。友だちいないですね。」
異国を旅する不安と、それを乗り越えようとするユーモア。当時の先生に、今の自分を重ね合わせる。とても不思議な感覚だ。★★★★★
- 作者: 文京洙
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/12/20
- メディア: 新書
- 購入: 8人 クリック: 264回
- この商品を含むブログ (33件) を見る
日本の戦後史をベースに映画を作ったとして、他国の人の心を揺さぶる映画が作れるだろうかと問われると甚だ自信がない。もっともそれが国民にとって不幸なのか幸福なのかは難しいところだが。
この本には、第二次大戦後の韓国の現代史が簡潔にまとめられている。日本の敗戦を迎えて、天からふってきたような自由に戸惑う人々、体勢を立て直そうとしたらでアメリカ・ソ連の対立から朝鮮戦争が勃発、軍事政権による独裁と虐殺、日本がアメリカに守られて比較的安定した成長を続けていたすぐ隣で、こんな波乱に満ちた道のりを歩んでいたとは想像を絶する。歴史を学ぶ喜びを再認識することができたた。日本の大学闘争なんて、これと比べたらママゴトみたいなものじゃないですか。★★★☆☆
その他、ドロナワ・システムで読んだのが次の本。
・ソウルの風景―記憶と変貌 (岩波新書)最近のソウルを漫然と語った印象。評価★★★☆☆
・韓国発! 日本へのまなざし 好きになってはいけない国。 (文春文庫)「日本人を好きか嫌いか」ばっかり聞いて回らなくてもいいのに。評価★★☆☆☆
・東京からきたナグネ―韓国的80年代誌 (ちくま文庫)『練習問題』とセットで。評価★★★★☆
・ぼくのソウル白書 (徳間文庫)肩の力が抜けた、普段着のソウルエッセイ。評価★★★☆☆
にわか仕込みの韓国語が通じるかどうか…通じないだろうな、きっと。
山ほど不安を抱えたまま、木曜からソウルへ行ってきます。