おくりびと

 <お詫び 原作について勘違いしていたので一部直しました>

 本木雅弘演じる主人公は、、ひょんなことから故郷・山形の納棺屋に勤めることになる。旧友から後ろ指をさされ、妻は家を出て行き、何度も仕事を辞めようとするが、納棺屋の社長(山崎努)のもとで数々の死に接するうち、仕事の意味を見いだすようになる…

 何より納棺という儀式の美しさに胸を打たれる。華美なまがい物がはびこる今の世で、これほど静かに淡々と進み、なおかつ美しいセレモニーがあるだろうか。そして、儀式の冷たい美しさに、庄内地方の雪景色が実にあうのだ。日本の本質がどこにあるのかわからないときは、この映画を見るといい。

 そして「死」という扱いの難しいものを、逃げずに描いた勇気もすばらしい。映画の中にはつい笑ってしまうシーンがいくつもある。ただそれは、「死」の恐ろしさや奇妙さを誇張したものではなく、所詮人は生まれては死んでしまうものだという本質的なおかしさから来たものなので、違和感がない。

 僕も、あなたも、最期は棺に納められるのだ。そのとき、どんな人たちに見つめられているのだろう。劇場には年配の客が多かったけど、死を別世界の出来事のように思ってしまいがちな僕らの世代こそ見るべき映画だと思う。文句なしの評価★★★★★です。

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