間違いだらけの上海案内 その4

 上海の観光スポットははっきり言ってつまらない。外灘(バンド)なんて建物を眺めるくらいしかやることがないし、明朝の庭園である豫園にしても観光客が多すぎてくつろぎとはほど遠い。繁華街の南京路は地方のお上り買い物客でごった返しているし、新天地でブランドものを買うくらいなら銀座で買うって。
 というわけで、足は自然と路地に向かう。頼りになるのは駅で買った上海の詳細地図と、「大上海・時空旅行ガイド」(情報センター出版局)。
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 まず目につくのは洗濯物。物干し竿を窓に平行ではなく突き出すように立てているので、運動会の国旗のようにはためく、しなびたブラジャーとかパンツの下を歩くことになる。
 角を曲がればたいていマーケットが開かれている。果物屋にスイカが山ほど並んでいたり(中国人はスイカが大好きなようで、あちこちで食べさせられた)、文房具屋でドラえもんやキティの怪しげなコピー商品を売っていたり、魚屋の店頭でエビが元気に跳ねていたり、絞められるのを待つばかりな鶏が徘徊していたりすでに焼き殺されていたりと、眺めて飽きない。食べ物屋台も出ているので、胃に自信があるなら頼んでみるといいだろう。僕は肉まんかと思って頼んだ白包が、中に何もないただのパンで悔しい思いをした。
 路地をフラフラしていると、あちこちで見つける瓦礫の山。真っ平らなコンクリートに砕けたレンガが散乱していたりして、え、コンクリの土台の上にただレンガを積み上げただけだったの、なんて愕然とすることもしばしば。地震がないからできるんだろうな。
 地図片手に路地をウロウロ、が上海の正しい歩き方だと思うんだけど、あとはご自分の判断でどうぞ。足が疲れたら、60分700円程度(エアコンが入っていて英語がなんとか通じるレベル)のマッサージ屋で癒すのが吉。

路地のありふれた風景。宝山路の近くにて。

こちらは旧城内の南市にて。エリアによって路地も異なる。

路地のマーケット。香りというかニオイも豊か。

珍しい木材の破片。いつもはレンガが砕けている。

 そんなこんなの上海彷徨。新婚旅行で連れて行ったら離婚確実だけど、楽しくいい加減に生きている中国人がうらやましくなったのも事実。完璧主義とか潔癖性とかに悩む僕みたいな日本人は行ってみる価値ありです。

どこへ行っても人間悩みはつきないようで…