欧州

続・ヨーロッパ胃弱日記 その3

ベルリン都心から郊外電車で二十分ほど、世界陸上が終わって、祭りのあとといった感じのオリンピック・スタジアムを観に行った。ヒトラーが威信をかけた1936年五輪にあわせて造られた会場であり、その時の様子は沢木耕太郎の『オリンピア』(集英社文庫…

続・ヨーロッパ胃弱日記 その2

一方、チェコのプラハは、歴史を静かに積み重ねたような街だ。建物は同じような高さの石造り、屋根がレンガ色に統一されているので、誰かが一気に造りあげてそのまま残されたように錯覚してしまうが、見る人が見れば時代ごとの流行の様式が反映されているら…

続・ヨーロッパ胃弱日記 その1

ベルリンは都市圏人口500万人、ヨーロッパ有数の大都市である。だが、フランクフルトで乗り換えて1時間ほどのフライトで着いたベルリン・テーゲル空港は、ずいぶん小じんまりしていた。大きな空港では到着してからえんえん歩かされてやっと荷物のピック…

ヨーロッパ胃弱日記 その4

だから、旅行帰りの人間に「何がよかった」と聞かれるのは正直困るのだ。旅をすること、それは会社にしても家庭にしても居るべき場所から逃げ出すという行為自体が喜びであって、旅先で何を見たかなんて二の次だからだ。そこで「どこに感動したか」なんて槍…

ヨーロッパ胃弱日記 その3

旅人は天気に悩まされる。 それには二つの意味があって、一つは悪天候だと行動範囲が大幅に狭くなってしまうこと。雨が降っているとブラブラ町歩きというのは楽しみにくい。もう一つはその土地の天気を知らないこと。たとえば日本なら真夏の日中、猛烈に暑い…

ヨーロッパ胃弱日記 その2

まったく、旅はままならないものだ。 僕はかなり用心深い性格だと思う。石橋を叩きすぎて落としてしまうタイプだ。だからガイドブックもしっかり読み込むし、予約できることは日本で済ませてしまう。 ところが、どんな完璧に準備を済ませたつもりでも、街角…

ヨーロッパ胃弱日記 その1

日本へ帰ってきて、十日ぶりに会社に顔を出したら、あえなく風邪をひいてしまった。 仕事の過労で倒れたというならともかく、遊び帰りの人間にまわりは厳しい。「どこで悪い遊びをしてきたんだよ」とニヤニヤしているのはマシな方で、えらい人たちの「どんだ…