米国

思い出のサンフランシスコ、とは言うけれど

「まさに傷心旅行ですね」なんてからかわれながら、9月頭に一週間ほどサンフランシスコへの旅に出た。「正しい男はいつも傷を負ってるのさ。それが疼くか疼かないかだけでね」と自分でもよくわからない答えを返しながら、土産話を続けようとして考えこんで…

NY点景(5) セントラルパークの昼寝

日曜昼下がりのセントラルパークは、やっぱり混んでいた。芝生の上には海岸でもないのに水着で体を焼いてる姉ちゃん、フリスビーで遊んでるいい大人、なにで揉めているのか騒いでるガキ。日曜昼下がりの新宿御苑とやってることがそう変わる訳ではない。 だか…

NY点景(4) ストランド古書店

本屋には人びとの頭の中身がそっくり展開されている。そこに住む人は何に興味を持ち、どんな事を考えているのか。だから旅先で必ず本屋をのぞく。 ストランド古書店は繁華街・ユニオンスクエアのそばにある。日本で古本屋というと神保町は田村書店のように小…

NY点景(3) 対岸から見たマンハッタン島

僕が泊まったのは、ニュージャージー州にある民宿だった。ハドソン川に沿った丘の上にあり、1キロほどの川幅の向こうはマンハッタン島のアッパーウェストサイド、その奥はセントラルパークにあたる。 僕は東京から30キロほどのベッドタウンの出身だが、都…

NY点景(2) ニューヨーク大学

下町の香りがするグリニッチヴィレッジの細い路地を行ったり来たりしていたら、石造りの建物に、紺地に「NYU」のロゴが入った旗が掲げられていた。近くの案内図を見ると、このあたりに私立ニューヨーク大学の校舎が集まっているのだという。 東京で街にと…

NY点景(1) 地下鉄とタクシー

ニューヨークの地下鉄は、武骨だ。駅は地震の心配がないためか細い鉄骨がむきだしである。車両も実用本位でシートにクッションはないし、電車の止め方も荒っぽい。 ホームで待っていてもアナウンスも時刻表もないので、次に何行きが来るかは運次第である。も…

NY訪問記(3) ハーレムの夜、ハーレムな夜?

ニュージャージー州からハドソン川の底を潜ってマンハッタン島へ通じるリンカーントンネルは、金曜夕方ということもあって渋滞していた。終点のポートオーソリティ・バスターミナルから6番街54丁目のヒルトンホテルまで早足で歩いたのだが、それでも5分…

NY訪問記(2) 味オンチは僕かあなたか

アメリカ人の味オンチ、といわれる。そこで「いや、でも実はね…」とひっくり返すような店を探すのが旅人であり、それを披露するのが物書きの務めであろう。 だが申し訳ないことに、僕は偉大なるアメリカ食文化を前に、為す術もなかった。はっきり言う。「ア…

NY訪問記(1) 道を聞かれる男

僕は、よく道を聞かれる。早稲田に住んでいたころ、コインランドリーで本を読みながら待っていたら、おばちゃんがわざわざガラス戸を開けて「穴八幡宮へはどう行ったら…」なんて尋ねてきたのにはまいった。(せめて道行く人に訊いてくれ!)台湾に旅したとき…